歴史

茶文化の発展から生まれた「玉露」

室町∼安土桃山時代にかけて千利休らが完成させた「茶の湯」は豪商や武士たちに浸透し、武家社会に欠かせない存在となりました。それとともに製茶技術も発展し、より味や香りの優れた上質なお茶が追及されました。そして、1835年に江戸日本橋の茶商「山本山」の6代目である山本嘉兵衛が、茶葉を露のように丸くあぶったことで「玉露」が誕生しました。

特徴

まろやかな甘みと強い旨味

日本茶の中でも最高級品として知られる「玉露」は、とろりとした濃厚な甘みとコクが特徴的です。手間暇かけてじっくりと作られた茶葉は艶やかな深緑色をしており、甘味の感じられるふわりとした香りを楽しめます。また、舌触りがまろやかで、他とは違う「茶」を味わうことができます。

製法

淹れ方

じっくりと旨味を引き出す

玉露の甘みと旨味をしっかり味わうためには、じっくりと低温で茶葉の成分を抽出することが重要です。高温で淹れると、カテキンやカフェインなどの苦みや渋みが強く出てしまいます。

一.茶葉を急須に入れる

茶葉の量は一人当たり約2~3g、茶さじ大盛1杯分が目安です。

二.沸騰したお湯を湯冷ましに注ぐ

沸騰したお湯を湯冷ましに注ぎ、およそ50∼60度(手に持っていられる程度)まで冷まします。お湯の量は茶葉1gに対して30㎖が目安です。玉露も煎茶と同様、低温で淹れることでカテキンの抽出が抑えられ、玉露の甘みと旨味存分に楽しむことができます。

三.湯呑にお湯を注ぐ

湯冷ましに注いだお湯を、湯呑に注いでいきます。そうすることで、お湯の計量をしつつ湯呑を温めることができます。玉露は小さめの湯呑がおすすめです。

四.湯呑のお湯を急須に回し入れる

湯呑のお湯を茶葉全体に染み渡るように回し入れていきます。そして、急須をゆすらず、茶葉が開くまで1分半∼2分待ちます。撚れた茶葉がふんわりほどけてきたら、飲み頃です。待っている間に急須をゆすると、濁りや雑味が出てしまうのでゆすらず待つことが大切です。

五.急須に蓋をし、交互に湯呑に注ぐ

一つの湯呑に一気に注ぐのではなく、交互に少量ずつ入れていきます。こうすることで、すべての湯呑に均等な濃さと量のお茶を入れることができます。

六.最後の一滴まで注ぎ入れます

最後の一滴まで絞り切って淹れるのが、大切です。そうすることで、一煎目に凝縮された茶葉の旨味を楽しめるのはもちろん、茶の成分の浸出を抑えられるので、二煎目以降も風味豊かなお茶を味わうことができます。