歴史

「禅」の精神と抹茶

日本の抹茶の歴史は、宋に留学し禅宗(臨済宗)を広めた栄西禅師が抹茶による喫茶法を持ち帰ったことにはじまります。栄西は「喫茶養生記」を記し、禅と喫茶の習慣を結び付け、その上で茶の効能を説きました。やがて、抹茶の愛飲は武家社会に留まらず裕福な農民層にも浸透し、室町時代には歌・書画・能・作庭・建築等と共に禅文化の一翼を担い、茶道として大成します。

特徴

上品な旨味と甘味

抹茶は、新芽の生育中に被覆することで太陽の光を遮断し一定期間光を遮って茶葉を育てるという被覆栽培で育てられた茶葉から作られます。太陽の光を遮ることで、テアニンがカテキンに変化するのを防ぎ、テアニンが多く含まれる茶葉が出来上がります。テアニンを多く含む茶葉は旨味や甘味が強く、また被覆栽培による「覆い香」という青のりのような香りがほんのり感じられます。テアニンを多く含む抹茶は、リラックス効果や睡眠の質を改善させる働きがあり健康効果も高いです。

製法

石臼で挽いて、成分を逃さず粉状に

太陽の日差しを遮断し栽培した(被覆栽培)茶葉の新芽を蒸して乾燥させた「碾茶(てんちゃ)」を石臼で挽くことで抹茶が出来上がります。煎茶の製造工程とは異なり、抹茶では太陽の光を遮って栽培した茶葉を用いています。、また、煎茶では蒸した茶葉を揉むという工程がありましたが、抹茶では揉むことなくそのまま乾燥させ、石臼で挽くというのが特徴的です。石臼で挽いた茶葉は非常に細かい粒子になります。他の種類のお茶と比べ、そのままお湯に溶かして飲むため茶葉の栄養素をそのまま摂取できます。

点て方

なめらかで、濃厚な口当たり

泡をきめ細やかにすることで、なめらかな口当たりの抹茶を楽しむことができます。また、準備段階として抹茶茶碗にお湯を入れ、茶筅を浸けて温めておくことがポイントです。

一.抹茶をふるいにかける

あらかじめ抹茶をふるいにかけることで、より抹茶がきめ細かくなり、点てやすくなります。抹茶ふるい缶や茶こし等を使って、一服分の抹茶をふるっておくと良いでしょう。

二.お湯を用意する

使用する水は軟水が良いです。硬水はミネラルの含有量が多く、抹茶に含まれる茶葉の成分が溶け出すのを邪魔してしまいます。日本の水源の多くは軟水なので、ミネラルウォーター等を使用する場合は日本産のものを使用すると良いでしょう。

用意した水は一旦沸騰させます。

三.抹茶を抹茶茶碗に入れ、お湯を注ぐ

抹茶の量の目安はおよそ2g(茶さじ一杯)程度です。抹茶を抹茶茶碗に入れたら、お湯(約80度)を約70㎖、茶碗のふちから流すように注ぎ入れます。

四.抹茶を点てる

初めに、抹茶のかたまりを解くようになじませます。かたまりが無くなったら、茶せんを素早く前後させ、泡を立てていきます。この際、茶せんが茶碗のそこに付かないようにすることがポイントです。泡が立ったら、茶せんを「の」の字にゆっくり動かし、泡を細かくしていきます。最後に、中心に泡が盛り上がるように、茶せんを引き上げたら完成です。

旨味と甘味が感じられる、まろやかで濃厚な抹茶を是非お楽しみください。